PICK UP!シネマほぼ百発百中!Gun観しやがれ!第23回:『レッド・スパロー』

2018年03月28日

エンタメ 映画

「シネマほぼ百発百中!Gun観しやがれ!」

  ~狙った映画はだいたい外さないシネマヒットマンが送る怒濤の銀幕見聞録~

第23回『レッド・スパロー』

監督:フランシス・ローレンス『コンスタンティン』『ハンガー・ゲーム』
キャスト:
ジェニファー・ローレンス 『ハンガー・ゲーム』『世界にひとつのプレイブック』
ジョエル・エドガートン 『ブラック・スキャンダル』
マティアス・スナールツ 『リリーのすべて』
シャーロット・ランプリング 『さらば愛しき女よ』
メアリー=ルイーズ・パーカー 『RED/レッド』
ジェレミー・アイアンズ 『戦慄の絆』

2018年3月30日(金)全国ロードショー。
2018年/アメリカ映画
英題:RED SPARROW
上映時間:140分
配給:20世紀フォックス映画
■公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/redsparrow/

Ⓒ2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

 

【解説】誘惑&心理戦!ハニートラップ要員となった元バレリーナの“哀しみのスパイ”地獄絵巻

アカデミー賞女優である若き実力派ジェニファー・ローレンスが新たな境地に足を踏み入れたスパイ・サスペンス、『レッド・スパロー』が遂に日本上陸!

バレリーナとしての将来を絶たれ、病身の母と自らの生き残りのためにやむなくスパイとなるヒロイン、ドミニカ。人間性を剥奪され、国家のためのハニートラップ要員にされる彼女の過酷で壮絶な運命をハードかつ繊細なタッチで描く話題作である。

CIA工作員として33年活動してきたジェイソン・マシューズの原作を見事に映像化したのは、ジェニファーの出世作である『ハンガー・ゲーム』シリーズを手がけたフランシス・ローレンス。ヒロインのドミニカを演じるジェニファーをサポートするのは、監督としても頭角を現す個性派ジョエル・エドガートン、ドミニカを過酷な道へ誘う叔父役のマティアス・スナールツ、そしてベテランの重厚な存在感を放つシャーロット・ランプリングとジェレミー・アイアンズなど豪華な共演陣だ。

その色香と研ぎ澄まされた頭脳でターゲットの心を巧みに操る“赤い雀”の妖しい魅力に惑わされる140分。スパイ映画に新たな歴史を刻むセクシーで知的なヒロインから目が離せない!

 

 【物語】おそロシア!容赦なき国家的美人局大作戦の行方は・・・

名門ポリジョイ・バレエ団の花形であるドミニカ・エゴロワは、演舞中のアクシデントから致命的な怪我を負いバレリーナとしての将来を絶たれ失意のどん底に陥る。

そんなある日、彼女を尋ねてきたのは疎遠になっていた叔父のワーニャであった。ロシア情報庁の幹部である彼はドミニカの今後の生活と、病身である彼女の母親の治療のため新しい仕事を紹介すると申し出る。それは、ハニートラップと心理操作を武器としてミッションを遂行するスパイ=<スパロー>としての任務であった。気乗りしないドミニカだったが、もはや彼女には選択肢がなくロシア諜報機関の訓練施設へ送られることとなる。

冷酷な女監督官の指導の元、持ち前の美貌と頭脳で、ドミニカは望まないながらも、一流の<スパロー>へと仕立て上げられる。スパイのくすんだ危険な世界に巻き込まれた彼女に与えられたミッションはアメリカのCIA局員に接近し、ロシア政府内に潜むスパイの名を聞き出すこと。しかしその任務により、ドミニカは敵国アメリカのみならず、祖国ロシアからも狙われることになる。追いつめられ、身も心もズタズタになった彼女は呪われた運命に復讐するかのように最後の賭けに出る・・・。

 

【Gun】ロシアといえばマカロフ!そして、背筋も凍る凶器登場。

スパイ映画だがアクションがメインの作品ではないので銃器描写はあくまで控え目。ロシアが舞台となるため、登場する銃はロシア/ソ連製が主となり、軍の制式拳銃であるマカロフが多用されている。サイレンサー付きを冷酷非情な暗殺要員マトーリンが、ドミニカを尋問にかけるシーンで情報庁の女エージェントが、それぞれ使用。また、情報庁の装備ライフルとしてAKS-74Uも登場。クライマックスで登場するスナイパーライフルはPGMウルティマだと思われる。残念ながら判別できなかったのは、ドミニカに惹かれるCIAエージェントのネイトが使用したハンドガンである。SIGのフルサイズのようにも見えたが・・・。

しかし、本作で最も強烈な印象を残す武器はマトーリンが拷問に使用する“皮剝ぎ機”だ。ターゲットの皮膚を薄く削ぎ取って行く恐ろしい凶器であり、思わず背筋が凍る物騒な代物である。

【レビュー】ジェニファー・ローレンスの個性が爆発するハードで切ないスパイドラマ。

ジェニファー・ローレンスは不思議な女優である。

決して正統派の美人ではないが、ふてぶてしさと少女っぽさが同居したルックスは抗いがたい魅力を放ち、スナックのママのような酒焼けボイスと肉感的ながら骨太なボディは27歳という若さながら酸いも甘いも噛みわけた貫録を醸し出している。その際立った存在感と演技の振り幅の広さをハリウッドが放っておくワケがなく、今や名実共にトップスターの仲間入りを果たした。

本作はそんな彼女のキャリアの現時点までの集大成と呼んで過言では無い作品である。清廉なバレリーナから性と策略を武器にしたスパイへと変貌し過程を違和感なく演じられる20代の女優なんて彼女以外に存在しようか?

『ハンガー・ゲーム』シリーズで彼女をスターダムにのし上げた監督のフランシス・ローレンスも、初のリアルなスパイドラマを手掛けるに当たり彼女の力量に頼るところも大きかったのだろう。実際、大雑把なSFアクションが多かったフランシス監督は本作で一皮剥けたように思う。140分という長尺を派手なアクションなしでも緊張感たっぷりに魅せる演出の冴えはお見事である。

ヒロインがハニートラップ要員ということで、性を武器にした直接的なアプローチや心理操作といった生々しい描写が登場するが、これはあくまで前半の訓練シーンに集約され、後半はCIA局員との切ない恋愛模様へと移行するので女性もあまり抵抗なく観られるだろう。ジェニファーさんはセクシーだが、お脱ぎになられるより着衣の方がよりセクシーに見えると思ったりもする(あくまでも個人的意見)。

女スパイ物としては、昨年に公開されたシャーリーズ・セロンの『アトミック・ブロンド』があるが、あちらは完全なアクションメイン作であり、スパイ物としての醍醐味は本作が勝るだろう。

旬の女優がヌードや拷問シーンにも体当たりで挑んだ本作は想像以上にヘビーでグロテスクな要素が詰め込まれているが、夢破れた母親思いの少女の一途さが根底に流れているため鑑賞後の余韻は切なくも心地良い。

理不尽で残酷な世界に生きる女性の地獄巡りと逆襲を描いたサバイバル映画としても会心の一作だ!

 

 

 

投稿者:ToyGun.jp編集部