PICK UP!《シネマ活動大射撃》温厚な医師がナチスに復讐する男泣き戦争ドラマの名作「追想」(1975)

2018年03月16日

エンタメ 映画

『追想』Le vieux fusil

1975年フランス=西ドイツ映画 103分

監督 ロベール・アンリコ『冒険者たち』
出演
フィリップ・ノワレ『ニュー・シネマ・パラダイス』
ロミー・シュナイダー『太陽が知っている』
ジャン・ブィーズ『グラン・ブルー』
ヨアヒム・ハンセン『鷲は舞いおりた』
1976年3月日本公開
2017年9月日本リバイバル公開

【メロドラマのように宣伝されたが、蓋を開ければ壮絶な復讐バイオレンスだった】

原題はLe vieux fusil(英題:Old Gun)つまり「古い銃」となる本作。日本初公開となった40年以上経ち、昨年には劇場でリバイバル公開され、今月にCS「シネフィルWOWWOW」にて放映されている。あのクエンティン・タランティーノが敬愛し、自作『イングロリアス・バスターズ』のクライマックスで引用したこの傑作は映画ファンの間でカルト的な人気を博しているのだ。

『追想』という日本タイトルと、悲劇的なファミリードラマを連想させる宣伝で日本では公開当時あまり話題にならなかったが、本国フランスでは大ヒットし多くの賞に輝いた。日本ではビデオソフトや口コミでジワジワと年月をかけて評価が高まり、遂にリバイバル公開に至った。当時その美貌が絶頂に達していた薄幸の名女優ロミー・シュナイダーが話題となったこの作品だが、その実体は後の復讐アクションに通じる壮絶なバイオレンス映画であった。

第2次世界大戦末期、ナチ占領下のフランス。温厚で人望も厚い医師のジュリアン(ノワレ)はレジスタンス活動を行う同胞を匿い治療していたことから、ナチスに目を付けられる。身の危険を感じた彼は美しい妻クララ(シュナイダー)と娘を故郷の村にある古城へ疎開させる。連合軍がノルマンディーへ上陸した頃、仕事を片付けたジュリアンは村へ向かうが、そこで見たものは教会で虐殺された村人たちの姿、そして射殺された娘と焼死体となったクララの姿であった・・・。悲しみと絶望の末、ジュリアンは愛する者たちを惨殺し、古城を乗っ取った憎きナチスの武装親衛隊SSに復讐するため古いショットガンを手にする。勝手知ったる古城でゲリラ的にSSを一人一人殺していく男の脳裏には幸せだった頃の家族の風景が常に寄り添っていた・・・。

 

【アクションとかけ離れた風貌の温厚な主人公が見せる戦いが切なく胸を打つ】

主人公のジュリアンを演じるフィリップ・ノワレは、恰幅がよく草食動物のような温厚な雰囲気を持つ名優でアクションやバイオレンスというイメージから大きくかけ離れた男である。しかし、中盤以降はショットガンで射殺、肉弾戦で頭をカチ割る、水攻めで溺死させるなどランボーのごときゲリラ戦で復讐を果たしてゆくのだ。その姿は突き出たお腹を持て余しながら走り、疲れ果て体を引き摺るように歩くなどカッコ良いものではないが、その普通の男のリアルな姿が「温厚な医師が急に殺人マシーンに変貌する」荒唐無稽さを軽減させている。バイオレンスシーンは現在見てもかなりハードな部類で、娘が射殺され、陵辱された挙げ句火炎放射器で焼き殺される妻クララの描写(主人公の想像シーンだが)などは見ていて辛くなるほど凄惨だ。また、仲間割れしたSSが頭を撃ち抜かれるシーンの銃創などスプラッター映画クラスである。

しかし、本作はそんなバイオレンスよりも悲しみと甘美が印象に残る。それは復讐の間に妻との出会いから家族との幸せな日々を「追想」するシーンが多く挟まれているからだ。それが復讐シーンのテンポを崩しているとの意見もあるし事実そう感じる部分もあるが、あくまで本作の主軸は「戦争により愛する者を奪われた普通の男の悲劇」であり、それが本作が末永く指示された理由なのである。オープニングで家族3人が自転車で田舎道を仲良く走る描写がラストに再度登場するが、全く印象が異なるのも切なく効果的である。

戦争の悲劇と復讐アクション、そしてメロドラマという奇跡の三位一体を成功させた切なく美しく凄惨な名作だ。

そして、第2次世界大戦下が舞台となる本作にはドイツ製の銃をメインに様々な銃器が登場している。

 

12ゲージ ダブルバレルショットガン

主人公ジュリアンが復讐のために手にする旧式の水平二連式ショットガン。型式は判別できないが、劇中に登場するのは画像のようなエングレイブは入っていない。井戸の中から発砲するなどしてSS隊員2名を射殺。家族を殺された男が復讐するために手にする銃の定番であり、「ローリングサンダー」、「マッドマックス」、「狼の死刑宣告」などの先駆けとなったのは本作?と言われたり言われなかったり。

 

 

ルガーP08

ワルサーP38とならび、ドイツの誇る軍用自動拳銃の名作。トグルアクションという独自の機構と美しいフォルムで連合軍の兵士をも魅了し、コレクターも多い。劇中、ジュリアンの娘を射殺するSS将校が使用。非道な使われた方で本作での印象悪し。

※写真はMGC製のモデルガンです

 

マウザー 1934ポケットピストル(※参考画像は1910)

マウザー社が開発したストライカー式中型拳銃。上記参考画像は1910年に開発されたモデルで、劇中に登場するのは改良型となるM1934である。戦争物やスパイ物にも度々登場し、密かにファンが多い。本作では最後の生き残りとなり、ジュリアンとレジスタンスに包囲されたSS将校が本銃で自ら自殺しようとするが・・・。

 

 

MP40 サブマシンガン

第2次大戦ものではお馴染みのドイツ軍用サブマシンガンで本作でも安定の登場。ジュリアンに頭をカチ割られるSS隊員が使用。

 

 

Gew 98

1898年から1935年までドイツ軍の制式銃となったボルトアクションライフル。マウザー社がボルトアクション機構の設計を手がけている。劇中ではドイツ軍兵士と、レジスタンスが装備しているのが確認できる。

 

M2火炎放射器

アメリカ軍が第2次大戦中に開発した携帯型の火炎放射器。第二次世界大戦ではヨーロッパ・太平洋戦線共に多数投入され、朝鮮戦争やベトナム戦争でも猛威をふるった。本作で最も強烈な印象を残した火器である。クララを焼き殺す最悪の凶器として使用され、クライマックスではジュリアンがこれを手に鏡の後ろ側からSS将校を焼き殺すなど、ジュリアンの怒りと悲しみを象徴する存在として登場。

 

その他にも

レジスタンスの1人が携行するステンサブマシンガン、 Sd Kfz 251 装甲兵員輸送車輌にマウントされたMG131マシンガンなどが登場している。

 

戦争映画やミリタリー好きはもちろん、復讐映画が好きな方にオススメの悲しくも壮絶な男泣きのドラマを是非目にして欲しい。

CSシネフィルWOWOWでの今後の放送予定は

3月20日(火)10:00 〜
3月26日(月)深夜4:00〜

視聴可能な方は是非チェックして欲しい

シネフィルWOWWOW

 

DVDも好評発売中

投稿者:ToyGun.jp編集部