PICK UP!シネマほぼ百発百中!Gun観しやがれ!: 第22回『オリエント急行殺人事件』

2017年11月24日

エンタメ 映画

「シネマほぼ百発百中!Gun観しやがれ!」

  ~狙った映画はだいたい外さないシネマヒットマンが送る怒濤の銀幕見聞録~

Ⓒ2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

 

監督:ケネス・ブラナー『シンデレラ』『マイティ・ソー』
原作:アガサ・クリスティー 『オリエント急行の殺人』

キャスト:
ケネス・ブラナー 『ダンケルク』
ジョニー・デップ 『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』
ミシェル・ファイファー 『ダーク・シャドウ』
デイジー・リドリー 『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
ジュディ・デンチ 『007/スカイフォール』
ペネロペ・クルス 『悪の法則』
ウィレム・デフォー 『ジョン・ウィック』

2017年12月8日(金)全国ロードショー。
2017年/アメリカ映画
英題:Murder on the Orient Express
上映時間:114分
配給:20世紀フォックス映画
■公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/orient-movie/

 

【解説】名作ミステリーが装いも新たに登場!名優たちを乗せて“極上の謎”が走り出す!

ギネスも認定した史上最高の“ミステリーの女王”アガサ・クリスティーの最高傑作と言われる「オリエント急行殺人事件(オリエント急行の殺人)」が、豪華キャストと新たなアプローチで銀幕に甦る。

トルコ・イスタンブールからフランス・カレー間を走るヨーロッパ横断豪華寝台列車“オリエント急行”。国籍も職業も異なる乗客で満室となった車内で凄惨な殺人事件が発生する。だが、その乗客の中には“灰色の脳細胞”の異名を持つ名探偵エルキュール・ポアロの姿があった。やがてポアロは明晰な頭脳と驚くべき観察眼で犯人の目的と驚愕の事実を暴き出すのだが・・・。

監督、そして主人公の名探偵エルキュール・ポアロ役はシェークスピア俳優として世界的名声を掴んだケネス・ブラナー。アクティブなポアロ像の確立と重厚な演出で観る者を魅了することうけあいである。個性的な乗客を演じるのは、存在だけで危険なジョニー・デップ、アンニュイな風格漂うミシェル・ファイファー、清楚で聡明なデイジー・リドリー、高貴の貫録ジュディ・デンチ、危うげな美貌のペネロペ・クルス、暗く知的なウィレム・デフォーなど豪華キャスト陣。

ゴージャスでスタイリッシュ、重厚でエモーショナルな極上のミステリーが冬の銀幕を華麗に横断する!

 【物語】その真実を知れば、胸が痛む

“灰色の脳細胞”の異名を持つ、世界的に有名なベルギー人探偵エルキュール・ポアロはトルコのイスタンブールにて鮮やかな推理と機転でとある事件を無事解決。しかし、別の案件が発生し急遽ロンドンに戻ることとなる。

そこでポアロは旧知の鉄道会社重役ブークの計らいで、パリ経由でロンドンへ向かうべくヨーロッパ横断寝台列車オリエント急行に乗車。オフシーズンにもかかわらず満室の車内で様々な乗客と共に目的地へ向かう。

しかしその夜、雪崩の影響で停車を余儀なくされた列車内でアメリカ人富豪ラチェットが12箇所も刺された惨たらしい遺体で発見される。ラチェットは殺害される前に「何者かに脅迫されている」と、ポアロに護衛を依頼していた。ポアロはラチェットに送られた脅迫状をもとに独自の操作を開始する。

食い違うアリバイ、証拠品の発見、乗客それぞれの秘密と過去・・・乗客全員が容疑者という異様な状況において、やがて点と線は過去に起きた悲劇的な事件を介して結びつく。

そして、ポアロが辿り着いた衝撃の事実とは・・・。

 

【Gun】クラシカルな雰囲気を演出する2丁の拳銃

劇中ではコルトの名銃が2丁登場。まずは昔のギャング映画や警察物、日本の日活アクションでもお馴染みのコルトM1903(コルト32オート)。劇中ではジョニー・デップ演じる怪しい素性のアメリカ人富豪ラチェットが護身用として携行。護衛の依頼を受けようとしないポアロに、コルトM1903の銃口をナフキン越しにちらつかせる。後半ではとある人物が使用。発砲シーンもあり。※写真はCAW製モデルガン

そしてもう1丁は警察用リボルバーの名作であるコルト・オフィシャルポリス。劇中ではとある人物が携行しており、ポアロは本銃を見てすぐさまその種類とその人物の素性を暴くというキレものぶりを見せる。さらにクライマックスでは重要な“演者”としてフィーチャーされる。※写真はMGC製モデルガン

【レビュー】走る、銃をかまえる、新生ポアロが活躍するオールスター豪華ミステリー絵巻

原作がベストセラーであることはもちろん、度々映画、ドラマ化(日本では三谷幸喜が脚本を務め日本風にアレンジ)されるなど、アガサ・クリスティー作品中最も有名な作品なので、内容や結末をご存知の方も多いことだろう。

映画化作品としては1974年製作のシドニー・ルメット監督作以来43年ぶりとなる。この74年版ではアルバート・フィニーがポアロを演じ、乗客にはジョーン・コネリー、イングリッド・バーグマン、ローレン・バコールなど錚々たる名優が顔を揃えていた。陰惨な殺人事件ものながら、全体的に楽天的で洒脱な雰囲気を重視。エンドロールもカーテンコール風でいかにもオールスター娯楽大作という作りであった。

一方、2017年版は同じくオールスターキャストというゴージャス振りは変わらないものの、重厚さと暗さを重視しており鑑賞後に切なさとやや重い余韻を残す。また、作風と同時に名探偵ポアロ像も従来のものと異なっている。惚けた飄々とした雰囲気と、どこか意地の悪さを感じさせる独特の存在感は崩さない程度に、重厚さとアクティブさを加えた“ケネス・ポアロ“の登場である。容疑者を追い、走り、撃たれ、自らも銃を手にするポアロにいささか違和感を覚えるオールドファンもいるかも知れない。しかしながら、既に「犯人」が世界の多くで知られている物語に観客を集中させるための演出として新たなポアロ像への試みは現代の観客には必要不可欠であり、成功しているといえよう(まあ、昔のピーター・ユスチネフのポアロを見馴れた方にはケネス氏はカッコ良すぎて・・・となるかも)。

また基本列車内という限定された空間が舞台の話であるが、今回は雄大な雪景色をフィーチャーし、線路上やトンネルなど列車外にも展開、流麗なカメラワークとともに「静」と「動」のバランスも絶妙でケネス演出が冴え渡っている。

そして本作の醍醐味である豪華キャストのアンサンブルだが、今回はアンニュイでおしゃべり好きな未亡人を演じたミシェル・ファイファーが傑出(なんとエンドロールに流れる歌も担当)。また、すっかり貫録を増し胡散臭さ満載のジョニー・デップや、ラスボス感しかない重鎮ジュディ・デンチ、「フォースの覚醒」のヒロイン、レイと全く雰囲気のデイジー・リドリーのクラシカルな美しさなどなど、画を持たせる見事な顔が勢揃いで嬉しい限り。

ケネス・ポアロを受け入れられるか否かでオールドファンの評価が分かれると思われる本作。しかしながら、格調高いエンタテイメントとしては大満足の出来であり。結末や犯人をご存じない原作未読(および過去映像作をご覧でない)の方は事前に情報をシャットアウトして、幸せな映画鑑賞を体験して頂きたい。

クライマックスの構図がダ・ヴンチの「最後の晩餐」風なのも象徴的で、74年版とは全く違う“善悪の彼岸”を描こうとした意欲作。ラスト、従来のファンが思わず膝を叩く台詞が用意されているのでお見逃しなく。

 

本作が「陰」ならこちらは「陽」のテイスト

 

 

 

投稿者:ToyGun.jp編集部