PICK UP!金槌を銃に持ちかえたヒーロー、ハリソン・フォード【シネマ活動大射撃・特別編】

2017年11月02日

エンタメ 映画

DIYアクターにしてGunアクター、ハリソンは日曜に大工の夢を見るか?

「ブレードランナー2049」(公開中 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)より

 

ハリソン・フォードと聞いて多くの人が連想するのが「ハン・ソロ」と「インディ・ジョーンズ」というハリウッド映画界きってのアドベンチャーヒーローだろう。現在も続編が制作中である大ヒットシリーズの顔であるベテランも今や75歳。しかし、老いてなおその存在感は強固なものとなり、円熟味を増した演技は映画ファンの胸を熱くする。

そして、先の2大ヒーローが見せる豪放快活なイメージとは真逆の暗く内省的でハードなアンチ・ヒーローを演じたもう1本の代表作が『ブレードランナー』である。その35年ぶりの続編となる『ブレードランナー2049』の公開に併せて9年ぶりに来日しファンを熱狂させた記憶も新しいハリソンだが、その俳優人生は決して順風満帆なものではなかった。

1942年にアメリカ・イリノイ州シカゴで生まれたハリソンは大学中退後、地元劇団での活動が注目され1966年に犯罪映画『現金作戦』でスクリーンデビュー。しかし、その後もチョイ役が続きなかなか芽が出ない苦難の時代が続く。スタジオとの契約終了後は、独学で学んだ大工仕事で生計を立てながら俳優として活躍する機会を模索した。しかし、ハリソンには大工として天賦の才能があったようで、その腕の良さはたちまちハリウッド界隈に知れ渡る。『現金作戦』の主演であったジェームズ・コバーンはお得意様となり、ミュージシャン、セルジオ・メンデスのスタジオ改築の際にはその腕前を絶賛された。

そしてなんと、この大工の腕前が縁となり映画プロデューサー、フレッド・ルースを通じて1973年『アメリカン・グラフティ』に出演。この作品の監督であるジョージ・ルーカスと親交を深め、後に彼が監督を務めるスペースオペラ大作のオーディションを受け見事に宇宙密輸船の船長役を獲得。その作品こそハリソン、そしてルーカスの運命を大きく好転させた『スター・ウォーズ(EpⅣ 新たなる希望)」である。

それからの華々しい活躍振りは言わずもがな。今後も「インディ・ジョーンズ」シリーズの新作など、70半ばにして益々精力的なハリソンにこれからも注目したい。そこで今回は、『ブレードランナー2049』公開と来日を記念して代表作といえる4本の作品で彼が使用したGunを紹介しよう。

 

①DL-44重ブラスター・ピストル(モーゼルC96ベースのプロップガン)※写真はマルシン製エアガン(後期モデルM712)

使用キャラクター:『スター・ウォーズ』シリーズのハン・ソロ船長

 

『スターウォーズ』(エピソード4〜7)でハン・ソロが使用。本銃の上部側面にスコープ、銃身の先端部分にラッパ状のフラッシュハイダ(消炎器)を装着するなどのカスタマイズが施された「DL-44重ブラスター・ピストル」。原型となるのは、1896年に生産が開始されたドイツ製軍用大型拳銃、モーゼルC96。グリップの形状から、ブルームハンドル(ホウキの柄)なる仇名を付けられた。後年、フルオート射撃が可能なシュネルフォイヤー(速射)モデル、M712が登場。現代のマシンピストルの先駆的存在とも呼ばれている。

このブラスターはシリーズごとに微妙にデザインが異なっており、ソロはブラウンのベルトホルスターに本銃を入れて携行。その火力は帝国軍のストームトルーパーの装甲服を貫通するほど強力である。

関連記事:スターウォーズに登場した銃の原型とは【シネマ活動大射撃その1】

 

②M1917 455ハンドエジェクター2nd※写真はタナカ製モデルガン「インディモデル」

使用キャラクター:『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』のインディアナ・ジョーンズ

スピルバーグ&ルーカスという夢のタッグで製作、1981年に公開された〈インディ・ジョーンズ シリーズ〉の記念すべき第1作「レイダース 失われた聖櫃《アーク》」。その劇中でインディが愛用したリボルバーは2種類。いずれも45口径の大型リボルバーであるS&W M1917なのだが、映画用にカスタマイズされている。

M1917は、第1次世界大戦時にアメリカが急速な兵力拡大に伴う銃器不足をカバーするため、軍用としては手空きになっていたリボルバーの生産ライン利用して製造した軍用リボルバー。要は当時の主力拳銃であったコルトM1911A1(ガバメント)の生産が追い付かないため補助として登場したのである。このような理由から、S&Wとコルトの2大銃器メーカーがそれぞれ生産し、第2次世界大戦後には日本の警察でも採用された。イギリス軍仕様のM1917 455ハンドエジェクター2ndのインディモデル。こちらもオリジナルの5.5インチ銃身を4インチに切り詰め、フロントサイトは半円状のものからランプ・タイプに変更されている。日本でもタナカがインディモデルのオマージュとして、同タイプのモデルガン、エアガンを発売した。

関連記事:インディ博士が愛したリボルバー【シネマ活動大射撃その6】

 

③S&W M10 2インチモデル※写真はコクサイ製モデルガン

使用キャラクター:『刑事ジョン・ブック 目撃者』のジョン・ブック

1985年製作。ハリソンが演技派として新境地を開き、オスカーにノミネートされた重厚で詩情溢れるサスペンス映画の傑作。ある殺人事件の目撃者であるアーミッシュの少年とその母親を守る、フィラデルフィア市警の思慮深く正義感溢れる刑事ジョンが携行するのがS&W M10の2インチモデルである。

ミリタリー&ポリス(通称・ミリポリ)の名称を持つS&W社の代表作となるリボルバーで、その名の通り世界銃の軍や警察機関で採用された。最初のモデルが発表されたのは1899年で、以降何度かモデルチェンジされている。ポリマーフレームオートが主流の現在では第一線から退いたものの愛好家は多いようだ。本作で使用されたのはフロントサイトが半月型のオールドタイプ。物語序盤の駐車場での銃撃戦や、アーミッシュの村へ潜入した際には少年の母親に預けて小麦粉(?)の缶に入れられるハメになったりするのが印象的。因みに本作の中盤で村人たちと小屋を作るくだりは、ハリソンの大工としての本領も発揮された感動的な名シーンとして語り草になっている。

※写真のIDカードは筆者所有の劇場公開時前売り購入特典である、ジョン・ブックIDカード。裏面にクリップが付いている。

 

④デッカードブラスター※写真はオマージュモデルとなるハートフォード製モデルガン「2019ブラスター」

使用キャラクター:『ブレードランナー』シリーズのリック・デッカード

SF作家の重鎮フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を原案に、鬼才リドリー・スコットが1982年に映画化。公開当時は大コケしたものの、ビデオソフト化後に火がつきカルトムービーとして人気爆発したSF映画の金字塔にてフィルムノワールの傑作。その後、「ディレクターズ・カット版」、「ファイナル・カット版」を経て、今年35年ぶりの続編『ブレードランナー2049』が公開された。

本作でレプリカント解任要員である捜査官“ブレードランナー”のデッカードが携行するのが映画オリジナルのプロップガンとなるブラスターである。公式名はなく主に「ブラスター」、「デッカードブラスター」と呼ばれる。もともとは本作のインダストリアル・デザイナーを務めたシド・ミードがデザインを行っていたが、あまりにもSF的過ぎるとして不採用となり(監督のリドリーは現存の銃に近いデザインを求めた)小道具と美術担当スタッフが実銃をカスタマイズしたプロップを製作した。シュタイヤー・ボルトアクションライフルの機関部と、チャーター・アームズ・ブルドッグ44リボルバーをベースに唯一無二のデザインを持つブラスターを完成させた。

撮影時には、琥珀のグリップを付けた通常モデルの他に、発砲用の黒いグリップモデル、制服警官携行用のオールブラックモデル(ポリスモデル)などが使用されたという。日本でも多くのインスパイアモデルがトイガンとして発売され、常に完売か品薄、プレミア化しており絶大な人気を誇っている。

続編の『2049』においては中盤で登場するデッカードが使用し、後半にはライアン・ゴズリング演じるブレードランナー“K”が使用する。

 

ハリウッドの重鎮としてまだまだ第一線を走り続けるハリソン・フォード。老年ながら冒険心を忘れない新しいインディの姿が楽しみである。

 

投稿者:ToyGun.jp編集部