PICK UP!44 オートマグに黒はないのだよ、ハンター【シネマ活動大射撃】

2017年07月05日

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映画向きのルックスながら登場することが少なかった44オートマグ

【ダーティハリー4」「バトルトラック」「マローン/黒い標的」.etc

【44オートマグとは?】

ハリー・サンフォード率いるAM社(Auto Mag Corporation)が1970年(開発は1969年)に発売した、世界初のマグナム弾を使用する大型自動拳銃。ステンレス材を使用することによ強力なマグナム弾の威力に耐えうる最強の自動拳銃として鳴り物入りで登場した本銃は、マグナムオートという新しいジャンルの先駆的存在である。
 しかしながら、当時まだまだ未熟であったステンレス技術に加え、素材特有の粘りや潤滑、ライフルに採用されるような複雑な閉鎖方式などが影響し、いとも簡単にジャム(弾詰まり)を引き起こし、「オートジャム」と言う不名誉なあだ名まで付けらる始末・・・。当然銃器としての評価も人気も芳しいものではなかった。

やがて倒産に追いやられたAM社がトーマスオイル社に買い取られTDEとなり、さらにその後、ハイスタンダード、AMT、AMCと社名変更、倒産、吸収、買い戻しを繰り返し、オートマグは1983年に生産中止となる。

 銃としての実用性という点では残念な結果だったが、そのコンセプトと、ユニークな構造に優雅なスタイル、そしてマグナム弾を発射するオートマチック拳銃という唯一無二の魅力がコアなファンを生み出した44オートマグ。

後に同じ発想で作られたイスラエル製大型自動拳銃、デザートイーグルが成功した事を考えると、生まれてくるのが早すぎたといえなくもない不遇な銃である。

※上記2点の写真は、いずれもMGC製モデルガンです。

【スクリーンに登場した44オートマグ】

MGC、東京マルイ、マルシン、マツシロなど、国内メーカーがこぞってモデル化。日本のモデルガンファンにも好評を持って迎えられた44オートマグ(実銃の評価は別として)。

そのルックスから映画にも引っ張りダコかと思いきや、驚くくらい映画への登場は少ない。やはり実銃として「カッコイイけど使えない」という元も子もない低評価が影響してしまったのだろうか。

おそらく最初に44オートマグが登場した映画は1981年製作、日本では劇場未公開ながらマニアの間では人気のSFホラー「バイオ・スケアード/悪魔の遺伝子」(ビデオ、DVDソフト化時の邦題)である。

そして、一時期大量生産された「マッドマックス」の亜流作品のひとつであり、勢いで日本の大劇場で公開されたニュージーランド映画「バトルトラック」には・・・。

実在しない黒いオートマグがスクリーンに登場「バトルトラック」(1982)

実在しない黒いオートマグ※写真はMGC製モデルガンです。

実際の44オートマグはステンレスボディのため、黒のオートマグは存在しない。しかし、日本国内でのモデル化に当たり黒いボディのオリジナルオートマグが登場。シルバーモデルと共に多くのモデルガンファンに愛された。

石油戦争で荒廃した近未来の荒野で、巨大装甲車で略奪を繰り返す悪党に戦いを挑む一匹狼のバイカーを描いたB級アクション「バトルトラック」では、マイケル・ベック演じる主人公ハンターの愛銃としてこの黒いオートマグが登場した。劇中で発砲シーンもあり、フラッシュを見ても「MGCのモデルガンを使ってるのでは?」と、マニアの間で話題となった(あくまで一部のマニアだが)。

 

だがやはりオートマグ映画として有名なのは、44オートマグを大々的にフィーチャーしてコアなガンマニア以外にもアピールした唯一の映画である、クリント・イーストウッド主演の人気シリーズ第4弾、1983年の「ダーティハリー4」だろう。

特注モデル登場!オートマグ映画の最高峰「ダーティハリー4」(1983)

映画「ダーティハリー4」に登場の特注モデル「クリントワン」※写真はマルシン製モデルガン。劇中で使用されたのはシルバーモデルです。

 

ご存知、サンフランシスコ市警の名物刑事ハリー・キャラハンの活躍を描いた大ヒットシリーズ。第4弾は地方に左遷されたハリーが過去の凄惨な事件が引き金となった連続殺人を追うノワール編。本作の後半でハリーが使用するのが特注のオートマグカスタム。通常モデルのベンチレーテットリブ(放熱板)付き6.5インチの銃身を8.5インチに延長し、美しい木目のグリップが取り付けられたこのカスタムモデルはナンバーが「クリントワン」という、世界に1丁だけのオリジナル銃。因みに撮影用のプロップガンは「クリントツー」と呼ばれている。当時のメーカーであるAMT社がクリント・イーストウッドに寄贈し、気に入ったクリントが本作に起用とのこと。

愛銃S&W M29 44マグナムごと敵に海に叩き落とされ、怒りに燃えたハリーが満を持して使用するのがこの特注モデルという設定。夜の遊園地で本銃を手に現れるハリーのシルエットは鳥肌もののカッコ良さであった。

その後は、イーストウッドのライバルであったアクションスター、バート・レイノルズが低迷期に主演したB級小品「マローン/黒い標的」(1987)にスタンダードなオートマグが登場。元CIA工作員の風来坊と権力者が片田舎で戦う現代版西部劇という内容で、レイノルズがオートマグを使用した以外の記憶が残らない凡作であった。

 

生産中止となり、スクリーンからも忘れ去られた44オートマグだが、そのオンリーワンな存在感は未だ色褪せない。実銃としての実力云々とは別として、トイガンとして我々を夢中にさせてくれたその功績は永遠なのである。

投稿者:ToyGun.jp編集部