PICK UP!シネマほぼ百発百中!Gun観しやがれ!第15回「潜入者」

2017年04月12日

エンタメ 映画

シネマほぼ百発百中!Gun観しやがれ!

  ~狙った映画はだいたい外さないシネマヒットマンが送る怒濤の銀幕見聞録~

第15回『潜入者』

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監督 ブラッド・ファーマン 『リンカーン弁護士』

<CAST>
ブライアン・クランストン 『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』『ブレイキング・バッド』
ダイアン・クルーガー   『トロイ』『イングロリアス・バスターズ』
ジョン・レグイザモ    『カリートの道』『ジョン・ウィック』
エイミー・ライアン    『ブリッジ・オブ・スパイ』

2015年/イギリス映画/シネマスコープ
原題:THE INFILTRATOR
上映時間:127分
配給:クロックワークス

2017年5月13日、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
■公式HP:http://sennyusha.com/

 

【作品概要】アメリカ麻薬戦争史上最も大胆な潜入捜査

1980年代に史上最大規模の犯罪帝国を築いたコロンビアの麻薬王パブロ・エスコバル。その難攻不落の帝国を5年に渡る潜入捜査の上、壊滅に追い込んだ捜査官ロバート・メイザーの手記をベースに作られたのが実録サスペンス『潜入者』だ。

実話だからこそ描けたリアルな潜入捜査の実態と極限の緊張感、善と悪の境界を行き来する主人公の内面に深く迫る心理描写、通好みのキャストによるアンサンブルなど息つく暇もない極上のクライムドラマとなっている。監督は2011年の『リンカーン弁護士』が好評を得た俊英ブラッド・ファーマン。潜入捜査官ロバート・メイザーを演じるのは、TVシリーズ『ブレイキング・バッド』で注目され、『ドライヴ』(11)、『GODZILLA ゴジラ』(14)などの話題作で印象を残した渋い演技派ブライアン・クランストン。メイザーのパートナーとなる新人潜入捜査官キャシーには『イングロリアス・バスターズ』のダイアン・クルーガー。その他にもジョン・レグイザモ、エイミー・ライアン、ベンジャミン・ブラッドなど実力派のキャスト陣が作品のリアリティを高めている。

闇の世界で時に己を見失い、心身を疲弊させながらも戦い続けた男の姿に胸が熱くなる渾身の一作だ。

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 【STORY】男は強靱な意志を武器に闇の世界へ身を投じる

1980年代、アメリカに流入するドラッグの大部分はコロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルの組織を経由したものであった。史上最大規模の“帝国”を築き、麻薬ビジネスの頂点にいるエスコバルの息の根を止めるべく、アメリカ政府は大規模な潜入捜査作戦を計画する。この作戦のキーマンとして白羽の矢を立てられたのはアメリカ関税局のベテラン捜査官ロバート・メイザー。彼は同僚の潜入捜査官エミールの協力で架空の大富豪ボブ・ムセラとして身を偽り、その財力を持って組織に取り入ることに成功。そしてエスコバルに繋がるマネーロンダリングに対峙し、組織を内部から崩壊させるという大胆不敵な計画を実行に移すのであった。

 

 【Gun】

潜入捜査官ロバートが携行するのはS&W M28の4インチバレル。他にはコルトM1911A1、ニッケル仕上げのベレッタM81、バイクに乗ったヒットマンが使用したMAC11のスケールダウン版コブレイM11、カルテルの兵士が携行していたAKMなどが登場。実録潜入捜査ドラマのため派手な銃撃戦はないが、これらの銃器が危険な世界を演出する小道具として効果的に使用されている。

 

 【レビュー】善悪の境界をさまようヤヌスの物語

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Behind an eminence front
名声の向こう側で

Eminence front – It’s a put on.
お前の名声、それは上っ面だけ

本作のエンドクレジットに流れるザ・フーの「Eminence front」の歌詞の一部である。

麻薬王エスコバルの帝国崩壊に一役買った潜入捜査官ロバート・メイザーの、エスコバルに対する心情のような歌詞だが、同時に捜査のために大富豪を偽り財力と負の誘惑に身を滅ぼさぬようにと、自身への戒めとしてもとらえられる。

最近TVドラマにもなったコロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルは、敵対組織の人間や警察官など400人以上の殺害に関連し、史上最も凶悪非情な野心に満ちた麻薬王としての凶悪な顔と、世界で7番目の大富豪であり、コロンビアの国会議員をつとめ、貧困層の住宅建設など慈善事業に熱心で貧困層に支持された英雄としての顔を持っていた。

人は2つの顔を持っており、 誰もが2つの顔を使い分けて生きている。本作は実話をベースに麻薬ビジネスの最前線を描きながらも、強大なヤヌス(ローマ神話に登場する前後2つの顔を持つ神)に挑むべく自らもヤヌスと化す男の姿を描いたアイデンティティー危機のドラマである。

潜入捜査ものといえばスタイリッシュな『マイアミバイス』や、過剰にドラマチックな『インファナル・アフェア』あたりを連想するが、本作はどちらかといえば同じく実話を基にした『フェイク』の味わいに近い。

その枯れた魅力と確かな演技力で今や引っ張りダコのB・クランストンが物語を牽引し、2重生活のジレンマを抱えながらも任務を遂行する男のドラマを見事に盛り上げている。潜入の過程や、組織の人間との関係などもう少し踏み込んで欲しいという点はあるものの、「日常」の象徴となる妻との関係(特に妻の誕生日を祝うレストランでの思わぬアクシデントのシーンは秀逸)や、闇の世界に身を投じる葛藤なども丁寧に描かれた秀作である。

硬派な作品を欲する映画ファン、潜入捜査ものが好きな方、B・クランストンの枯れた魅力を堪能したい方に是非オススメの作品である。

投稿者:ToyGun.jp編集部