PICK UP!シネマほぼ百発百中!Gun観しやがれ!第12回「レヴェナント 蘇えりし者」

2016年04月04日

エンタメ 映画

シネマほぼ百発百中!Gun観しやがれ!

  ~狙った映画はだいたい外さないシネマヒットマンが送る怒濤の銀幕見聞録~

tDF-02086

第12回「レヴェナント 蘇えりし者」

原題:「THE REVENANT」
2015 アメリカ

■監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ

■音楽:坂本 龍一

■出演:レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、ドーナル・グリーソン、ウィル・ポーター 他

■配給:20世紀フォックス

4月22日(金)日劇他全国ロードショー

公式サイト : http://www.foxmovies-jp.com/revenant

※第88回アカデミー賞3部門受賞
監督賞(アレハンドロ・G・イニャリトゥ)
主演男優賞(レオナルド・ディカプリオ)
撮影賞

 

【映画史上最も鮮烈で壮大なサバイバル・ドラマが誕生 】

名実ともにハリウッドの頂点を極めたレオナルド・ディカプリオ、世界的巨匠まで上り詰めた アレハンドロ・G・イニャリトゥ、そして、日本が誇る天才ミュージシャン坂本 龍一。この強力な布陣のもとで息吹をあげた事実に基づく魂のサバイバル・ドラマ、それが「レヴェナント 蘇えりし者」だ。

アメリカ開拓時代。厳寒の未開地において瀕死の重傷を負い、最愛の息子を殺されたハンターは復讐を胸にかつてない壮絶なサバイバルの旅に出る。傷ついた体を押し、極寒に震え生肉を喰らい、激流に流されながらも怒りを糧にした男の「生」への執着は決して消え去ることはなかった・・・。

主人公グラスを演じるのは本作で悲願のアカデミー主演男優賞を獲得したレオナルド・ディカプリオ。彼を裏切り、最愛の息子の命を奪う敵役には「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の2代目マックス役でブレイクを果たしたトム・ハーディ。この脂がのった旬な男2人を厳格な大自然の中に放り込むのは、昨年の「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」に続きアカデミー作品賞2年連続受賞という快挙をなし遂げたアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督。そして荘厳な旋律で作品に高い格調を与えるのは、イニャリトゥ監督の「バベル」(2006)にも曲を提供した坂本 龍一。

復讐ドラマの枠を超えて、神(自然)と対峙するスピリチュアルな精神のドラマに達した本年度最高の話題作。黄泉の国から戻りし者(レヴェナント)が過酷な旅の果てに見たものは希望か、それとも絶望か・・・。

THE REVENANT Copyright ゥ 2016 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved. THE REVENANT Motion Picture Copyright ゥ 2016 Regency Entertainment (USA), Inc. and Monarchy Enterprises S.a.r.l. All rights reserved.Not for sale or duplication.

 【STORY : 自然は俺の血と声を奪い、奴は最愛の息子の命を奪った・・・】

1823年。ヘンリー隊長率いるハンターの一行は、ガイド役も務めるヒュー・グラスのナビゲートのもと、アメリカ西部の未開拓地をミズーリ川沿いに進んでいた。だが、彼らは白人に憎悪を抱く先住民の攻撃を受け、数名の仲間を失ってしまう。危険を避けるため進路を山沿いに変更した一行だったが、子を守るために神経過敏になっていたハイイログマに襲われたグラスが瀕死の重傷を負う。喉を食い破られ声を失い、出血多量で生死の境をさまようグラスをもう長くないと見た隊長はやむなく彼を置いていく決断を下す。同行していたグラスの息子ホーク、そしてグラスの臨終を看取る役目を多額の報酬で引き受けたフィッツジェラルド、グラスを慕う若者ジムの3人を残し、一行は進路を急いだ。

しかし、予想に反してグラスは強靱な生命力で死への誘いを拒んだ。かねてからグラスに敵意を抱いていたフィッツジェラルドは、一刻も早く砦へ戻ることを望みグラスの息の根を止めようとする。そして、必死に止めようとするホークをグラスの目の前で刺殺するのだった。

絶望と憎悪の中、声も出せず身動きも出来ないグラスを置き去りにし、ジムを騙して引き上げるフィッツジェラルド。

やがて、沸き上がる怒りと復讐心を原動力に死の淵から奇跡の生還を果たしたグラスは、満身創痍の状態で憎きフィッツジェラルドの追跡を開始する。だが、グラスを待ち受けていたのは容赦ない大自然の洗礼であった・・・。

 

【Gun解説】

1820年代が舞台ということで、登場するのはフリントロック(火打石式)銃となる。中盤以降でグラスが使用するフリントロック・ピストルの他に、フィッツジェラルドがグラスから奪うペンシルヴァニア・フリントロック・ライフル、ヘンリー隊長がメインで使用する、ブラウン・ベス・フリントロック・カービンなどが登場。

sub3 DF-03511

【レビュー:モノクロームの大地に浮かび上がる 人間という名の罪】

本作は作家のマイケル・バンナが実在のヒュー・グラスの人生を徹底的にリサーチして書き上げた「The Revenant : A Novel of Revenge」を原作としている。実は過去にも同じ題材を基に映画化された作品があり、日本でも「荒野に生きる」のタイトルで1971年に劇場公開されている。イギリスの名優リチャード・ハリス主演、「バニシング・ポイント」のリチャード・C・サラファインが監督を務めた「荒野に生きる」には、息子を殺された復讐というくだりはなく、重傷を負い置き去りにされた男のサバイバルと大いなる赦しの物語となっていた。

それとは真逆に、「レヴェナント 蘇えりし者」は、死の淵から生還した男の凄まじい生への執着と復讐の顛末がひたすら冷徹な視点で描かれる。死から生還した男とネイティブアメリカン、という構図はジム・ジャームッシュの「デッドマン」や、その雛形とも云われるマカロニウエスタン「情無用のジャンゴ」を彷彿とさせるも、本作にあるのは静謐なる死への、そして醜悪な地獄絵図への誘いでもない。

復讐ウエスタンのプロットを借りた、「神に試されし男」の物語は、雄大かつ厳格な大自然と血なまぐさい人間模様の対比、主人公グラスの心象風景を映し出したフラッシュバック、象徴的なイメージショットなどを交えながらも、安易な感情移入など一切寄せ付けない。ここにあるのは、愚かにも自分の領域を荒らしに来た人間たちの罪とその先にある破滅をただ見つめる傍観者としての神の視点なのだ。

息子を奪われ死にかけた人望厚き主人公グラスと、彼を地獄に突き落とす卑劣感フィッツジェラルド。本来であれば明確な善悪の線引きの下で激突する主要人物2人のアイデンティティは、物語が進むにつれ降り積もる雪に覆われるように不明瞭なものとなっていく。共に根底にあるのは「生」への執着であり、その結果傷つけ合う「罪」を背負う表裏一体の存在なのである。

真紅の血に染まる雪景色が、人の罪を映し出す鏡の如き鮮烈な印象を残すラスト。そこにようやく己の姿を見たグラスの表情に観る者は感情を掻き乱されることだろう。

ディカプリオの鬼気迫る一世一代の演技と、「失うことで本来の自分を発見する」というテーマを追求するイニャリトゥ監督の執念が見事に結実した野生芸術ともいえる秀作である。

 

投稿者:ToyGun.jp編集部