PICK UP!伝説のGunアクター、スティーブ・マックイーン【シネマ活動大射撃・特別編】

2016年03月09日

エンタメ 映画

Steve_McQueen

 【見せるところ、見せないところを使い分けた伝説のGunアクター】

スティーブ・マックイーン(1930〜1980)といえば、オールドファンは感涙し、若者はワイルドなアメリカンファッションのアイコンとして信奉する伝説のハリウッドアクターである。「荒野の七人」、「大脱走」、「砲艦サンパブロ」、そして遺作となった「ハンター」まで、その強烈な個性に魅了された男女は多いことだろう。

背も高くなく、お世辞にもハンサムとは言い難いルックスだが、敏捷な身のこなしとクールさ、時折見せる少年のような仕草、孤独の美学を体現した格好良さで一世を風靡し、50歳の若さで天逝したことでその存在は伝説となった。

そんなマックイーンの「動の魅力」を際立たせるアイテムが車、バイク、銃器の3種の神器である。ことに銃器に関しての熟練振りはその独特のアクションも含め多くのガンマニアを熱狂させた。

 

徹底的に「見せる」マックイーン流ガンアクションの真骨頂「ゲッタウェイ」smg3271-1

人気絶頂期の1972年 に、鬼才サム・ペキンパー監督のもと、当時の妻であったアリ・マックグローと共演したバイオレンスアクション「ゲッタウェイ」は、マックイーンのガンさばきが今も語り草となっている名作である。

本作でマックイーンが扮するのは出所間もなく、妻とともに銀行強盗に荷担するプロの犯罪者ドク・マッコイ。そのドクの得物となるのがアメリカン・オートの代表的存在であるコルトM1911A1(ガバメント)だ。慣れた手つきでスライドを後退させ薬室内の弾丸を確認する動作もさりげなく、裏切った殺し屋のルディを撃つシーンでは不意を突いて左手で発砲、止めの一撃を見舞う際には右手に持ち替える。その際に左手で撃つときの反動は強め、右手(利き手)で撃つときの反動はやや弱めに表現するなど非常に芸が細かい。余談だが、この発砲シーンでは銃がM1911A1から、スペイン製のコピーモデルであるスター・モデルB 9mmオートに変わっている。当時のステージガン事情で、9mmオートの方が快調に作動するという理由から発砲シーンのみ差し替えられたそうである。

更に後半、昏倒したルディをM1911A1で至近距離から撃とうとするシーンで返り血を浴びないように片手を銃の前にかざす仕草も、殺しも含めた裏稼業を生きる犯罪者の凄みを感じさせる秀逸さで話題となった。

ドクは中盤よりハイスタンダード・モデルK1200ショットガンも使用。パトカーを蜂の巣にし、クライマックスのモーテルではギャングをはじめエレベーターまで吹き飛ばす凄まじい銃撃戦を見せる。そしてショットガンを撃ち尽くすと、すかさずそれを捨ててベルトからM1911A1を抜き撃鉄を起こす。そのリアルな一連の動きも含め、徹底的に「見せる」マックイーン・ガンアクションの真骨頂たる名作である。

 

ギリギリまで「見せない」ストイックでリアルなガンアクション「ブリット」NAKA160229_pyson_01※本作に登場のコルト・ダイヤモンドバックの画像がないため、そのベースとなるコルトパイソンの画像を参考として掲載

 

そして、遡る1968年。アウトローが似合うマックイーンがただ一度だけ刑事を演じた、ピーター・イエーツ監督の「ブリット」では、役柄同様「ゲッタウェイ」とは真逆のガンさばきを披露。本作は後の「フレンチ・コネクション」、「ダーティハリー」と並び刑事映画3大名作として数えられている。

本作でマックイーンが演じるのは、サンフランシスコ市警の腕利き刑事フランク・ブリット。彼が使用するのはサファリランド製サイドアップダウン・ショルダーホルスターに収めたコルト・ダイアモンドバックの2.5インチモデル。コルトパイソンの廉価版として登場した38口径リボルバーである。

後のカーアクション映画に影響を与えた、ブリットの乗るフォード・マスタングと殺し屋の乗るダッジ・チャージャーの壮絶なカーチェイスが話題となった作品だが、クライマックスの空港での追跡戦から銃撃シーンにかけても緊張感溢れる見せ場となっている。

ネイビーのタートルネックにブラウンのツイードジャケットというスマートな出で立ちのブリットが眼光鋭く、混み合う空港ロビー内で犯人に近づく。そしてようやく犯人の姿をとらえたところで、ジャケットの内側に手を入れてコルトを抜き銃口を下に向けて保持する。人混みから離れ出口に向かって逃走する犯人が空港警備員に発砲した瞬間、ブリットのコルトが火を噴く!悲鳴と怒号に包まれる空港ロビー。ブリットはコルトの銃口を犯人に向けたまま近づき、その死を確認してからコルトをホルスターに戻す。そして、血なまぐさい現場を人々の目に晒さぬよう犯人の遺体にジャケットを掛けるのだ。

本作ではこのクライマックスの僅か数分以外、ブリットが銃を手にするシーンはない。刑事アクションの中でもかなり控え目な銃の使い方である。ここでマックイーンが見せるのはリアルかつストイックな「見せない」ガンアクションの極地である。中盤の病院内で殺し屋を追跡するシーンでも、手を上着の内側に入れるものの銃を抜くことは決してない。「敵の姿を見定めるまで決して銃口を向けない、不要に銃を晒さない」という、徹底的な銃管理を見せることでブリットという男のストイックなプロフェッショナルぶりを際立たせたのだ。

 

このように、役柄により銃の扱い方を変え、 その銃にも「演技」をさせることが出来る役者というのは後にも先にもマックイーンしかいないだろう。

 

 

 

投稿者:ToyGun.jp編集部