PICK UP!聖バレンタインデーの虐殺とは?【実録・Gun暗黒史】

2016年02月12日

コラム 企画

gangster-231472_1280(1)【アメリカギャング抗争史上最悪の血塗られた処刑劇】

もうすぐバレンタイン。しかし、かつての活気はどこへやら?いわゆる「義理チョコ」が全体的に減少傾向にあるようで「バレンタイン商戦異常あり」ということだろうか。

贈答イベント的要素が強かった日本のバレンタインも、本命チョコ重視という本来の「恋人たちの日」へとシフトしつつあるのは間違いない。

しかし、バレンタインには甘いイメージとは真逆の血生臭いイメージもついて回る。それが、1929年2月14日、ギャング抗争真っ只中のシカゴで起きた「聖バレンタインデーの虐殺」である。

【事件の概要】

1929年2月14日。《暗黒街の大統領》の異名をつもアル・カポネの一家と敵対する、バグス・モラン一家のヒットマンである。

ピーター・ゴッシー・グーゼンバーグ

フランク・フック・グーゼンバーグ(ピーターの実弟)

ジョニー・メイ

アルバート・カチェレック

アルバート・ウェインシャンク

アダム・ヘイヤー

そして、たまたま居合わせたモランの知人で堅気として眼鏡屋で働く

ラインハルト・シュヴィマー

の計7名が、射殺されるという事件が発生。

時は禁酒法時代のシカゴ。密造酒のシノギを巡ってギャングの抗争が熾烈化、バグズ・モランもまた小物ながらカポネ一家との抗争に明け暮れており、この虐殺は前月にカポネの部下であったパルカリノ・ロロルドをモランが射殺したことに対する報復措置であったと囁かれている。

惨劇の舞台となったのは、モランが本部として使っていたノース・クラーク通りにある運送会社の倉庫。配送されてくる密造酒を受け取るため待機していたグーゼンバーグ兄弟をはじめとするモラン一家の6名、そして不運にもそこを通りかかったラインハルトの前にパトカーが到着、銃を手にした警官5名は彼らを倉庫の壁に並ばせた。

摘発にあったものと観念したグーゼンバーグ兄弟たちだったが、彼らの手に手錠がかけられることはなかった。

代わりに、マシンガンと散弾銃が一斉に火を噴き、無抵抗の7名に向けて100発近くもの銃弾が撃ち込まれたのだ。そして、7名は全員血の海に伏し息絶えた。

わずか8分間の出来事だったといわれている。

5名の警官は、カポネの部下である、ジャック・“マシンガン”・マックガーンの息の掛かった暗殺部隊が扮装した偽物であった。この暗殺部隊は犯行後にモランの部下である、テッド・ニューベリーおよび倉庫の真向かいに住む堅気の女性に目撃されるという失態を犯しており、その中にはカポネの用心棒ジョン・スカリーゼやアルバート・アンセルミなどがいたと伝えられている。

このギャング抗争史上最悪の事件は当時のアメリカ国民を震え上がらせた。

捜査に乗り出した警察当局だったが、事件の黒幕と思われたカポネは事件当時フロリダにおり、事情徴収を受けたものの確証がなく起訴されなかった。しかし、カポネ一家とモラン一家の対立の黒い背景においてもカポネが裏で糸を引いていることは濃厚であった。

一方、マックガーンは事件後起訴されたもののアリバイを主張。証拠不十分により無罪となった。

結局、アメリカ史上に残る凶行において逮捕者は1人も出なかったのだ。

真のターゲットであっただろうバグス・モラン本人は事件当時就寝していたため命拾いしたものの、この事件以降なりを潜めもはやカポネの脅威ではなくなった。

この事件が大々的に報道され、それまでカポネを街の守護者として崇めていた大衆は一転して嫌悪感をあらわにした。そして、警察もカポネを起訴すべく総力を挙げて動き出したのだ。

正に冷酷無情な「処刑」スタイルの虐殺は、長年続いたシカゴ暗黒街の抗争劇に幕を下ろすこととなった。そして、甘いチョコレートとは対極の苦い血の味はアメリカの歴史にいつまでも暗い影を落とし続けるのであった。

 

【犯行に使用された銃】

禁酒法時代のシカゴといえば、真っ先に脳裏に浮かぶ“トミーガン”ことトンプソン・サブマシンガン。犯行には50発のドラム型弾倉を装着したものと、20発のボックス型弾倉を装着したものの2丁が使用されたといわれている。散弾銃については特定出来ないが、水平二連式かウインチェスターM1897あたりかと思われる。

 

【事件を映画化した作品】

●B級映画の帝王ロジャー・コーマンが監督、名優ジェイソン・ロバーツがアル・カポネを演じた1967年の「聖バレンタインの虐殺/マシンガン・シティ」(日本劇場公開時タイトル「マシンガンシティ」)

●事件を物語に盛り込んだ作品では、1959年のビリー・ワイルダー監督、トニー・カーティス、ジャック・レモン、マリリン・モンロー主演による名作コメディ「お熱いのがお好き」がある。

●1932年のハワード・ホークス監督、ポール・ムニ主演のギャング映画の名作「暗黒街の顔役」では、事件を連想させる描写が挿入されている。事件から僅か3年ほどしか経過していないため、当時はかなり衝撃的であったようだ。

 

 

 

投稿者:ToyGun.jp編集部