PICK UP!「ダーティハリー4」に登場したオートマグカスタムとは【シネマ活動大射撃その2】

2016年01月14日

エンタメ 企画 映画

「クリントワン」という名誉ある称号を与えられたオリジナルモデル

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※参考画像はマルシン製モデルガン「クリントワン」。映画で実際に使用されたのはシルバー仕様のモデルです。

 

 「Go Ahead Make My Day(さあ、俺に撃たせてくれ)」

馴染みのカフェを襲った強盗団の1人にS&W M29 44マグナムの銃口を向けながら、ハリー・キャラハン刑事(クリント・イーストウッド)が放った映画史上に残るキラーフレーズ。当時のアメリカ大統領ロナルド・レーガンも演説で好んで使用してましたね。そう、本日のお題はクリント・イーストウッドがシリーズで唯一監督を務めた、1983年の(日本公開は1984年の)大人気刑事アクション第4弾

「ダーティハリー4(SUDDEN IMPACT)」でぇい!!!!

1971年の第1作で超最凶サイコキラー、スコルピオと死闘を繰り広げ、以降、意識高すぎの私刑警官部隊、地味なテロリストグループを相手にしてきたサンフランシスコ市警察の鬼刑事ハリーが本作で対峙するのは♂股間撃ち連続殺人。マフィアの恨みを買って命を狙われまくりながらも事件を追うハリーですが、街中にマフィアやチンピラの死体を大量生産した結果、ド田舎に飛ばされてしまいます。そこで謎めいた女性画家ジェニファーと出会ったハリーは、彼女が♂股間撃ち連続殺人の鍵を握っていること、事件の影に卑劣極まりないDQNグループが起こした陰惨な婦女暴行事件が関係していることを突き止めるのですが・・・。

結末で見せるハリーの個人的温情判決にファンの間で賛否両論が巻き起こりながらも、暗い情感と運命の残酷さを浮き彫りにした演出が冴えるシリーズ中異色のアクションノワールとなっています。

ダーティハリーといえば、分身ともいえるスミス&ウェッソンM29 6.5インチモデルが余りにも有名ですが、本作では油断したハリーがDQNどもの不意打ちに遭いボコられた挙げ句、海に落とされた際に行方不明となってしまいます。そこで、ドタマにきたハリーの新たな援軍として登場するのが44オートマグナムM180カスタムモデル「クリントワン」なのです。

オートマグといえば、1969年に世界初のマグナム弾を発射する最強の自動拳銃として鳴り物入りで登場。翌年AM社より発売されましたが、様々な欠点から作動不良も多く、商業的に大失敗してメーカーは倒産。以降、売却、合併を繰り返しながら製造販売されるもとうとう1983年に製造中止。日本ではモデルガンやエアガンが根強い人気で、クリントワンについては、マルシン工業からモデルガンの他に固定スライドタイプ、ブローバックタイプのエアガンが発売され好評を博しています。

通常モデルのベンチレーテットリブ(放熱板)付き6.5インチの銃身を8.5インチに延長し、美しい木目のグリップが取り付けられたこのカスタムモデルはナンバーが「クリントワン」という、世界に1丁だけのオリジナル銃。因みに撮影用のプロップガンは「クリントツー」だそうです。

当時のメーカーであるAMT社がクリント・イーストウッドに寄贈し、気に入ったクリントが本作に起用とのことですが、劇中ではハリーが本銃を入手した経緯は語られていません。しかし、日本公開時に発売されたノベライズ小説(ジョセフ・C・ステインスン著・角川文庫刊・現在絶版)には、強盗の現場に居合わせ危険に晒されていた銃職人夫妻を救ったことにより、感謝の品として送られたとあります。普段は謝礼など受け取らない主義のハリーが、本銃の美しさとパワーに惹かれてお言葉に甘えたというくだりが微笑ましいですな。

劇中、森の中で試射を行うシーンでは陽光を浴びて輝く美しいシルバーの銃身が映え、クライマックスの夜の遊園地で本銃を手にしたハリーのシルエットが浮かび上がるシーンでは鬼神のごとき迫力を放つ。正に映画を盛り上げる重要な「演者」として、その存在感を存分に発揮していました。

ハリーファンとしては、この後の最終作となる「5」があくまでファンサービス的な作品だったことから、ハリーの実質的最終作はこの「4」だと感じております。クリントが自身のパブリックイメージであるハリーを自らの手で葬るために監督を務めたに違いない本作では、無敵のハリーが愛銃とともに海に没する(しかも今までの敵に比べスケールの小さい田舎町のDQNにやられる)、寂れた夜の遊園地で回るメリーゴーランドの死後の世界を連想させる悪夢的イメージなどなど、象徴的なシーンが多いことからもその意図がうかがえるのです。

ハリーはスクリーンから姿を消しましたが、その勇姿はクリントワンとともにオンリーワンの存在としていつまでもファンを魅了し続けることでしょう。

投稿者:ToyGun.jp編集部