PICK UP!【ミリタリーコラム】女王陛下の珍兵器「17ポンド自走砲アーチャー」の巻

2015年10月30日

コラム 企画

女王陛下の珍兵器

      《17ポンド自走砲アーチャー(アーチャー対戦車自走砲)》の巻

Archer_SP_17_pdr_Tank_Destroyer

イギリスというお国が、紳士的国民性の裏にとんでもなく変でブッ飛んだ発想力をお持ちなのは世界的にも周知の事実。でなければ、魚の頭が突き出たパイ、うなぎのゼリー寄せ、モンティ・パイソンなどを生み出せる訳がありません(褒め言葉です)

12月に新作が公開される007シリーズで新兵器&珍兵器を開発する「Q」なんて、まさにイギリスの斜め上を行く発想を体現したキャラクターですよね(リスペクトです)

実は現在、三才ブックスより好評発売中の「ミリタリー・トイガン・カタログ2016」内、イギリス軍のページにて「MILITARY COLUMN 女王陛下の珍兵器」なるコラムを書かせて頂いておりまして(手前味噌です)そこで紹介しきれなかった、イギリスが誇る?珍兵器を当サイトで可能な限りご紹介できればと思います

飛躍しすぎてボツになったり、採用されるも不評を買ってしまった、大英帝国産軍事兵器の世界へようこそ!

●17ポンド自走砲アーチャー(アーチャー対戦車自走砲)

【後ろ向きでメンドくさいけど低姿勢なやつ】

第二次世界大戦時、イギリスは対戦車砲として2ポンド砲および6ポンド砲を使用していたが、もはや使い物にならなくなったことに焦り、優れた能力を持つ17ポンド砲の導入を急いだ。

しかし、この17ポンド砲、サイズと重さがハンパない。そこで、「このでっかい大砲載せる戦車がいるべ!」となったのだが、17ポンド砲を搭載した巡航戦車の開発が難航。で、仕方なく自走砲として運用の方向にシフトチェンジ!ベースとして自国陸軍が運用していたバレンタイン歩兵戦車に白羽の矢が立った。

 

しかし、この戦車、当時すでに「黄昏期」だったのである(もう・・・)

 

こうして、「急ぎだから!」をスローガン(言い訳)に17ポンド自走砲アーチャーの開発にGOサインが出てしまう。しかも、このバレンタイン歩兵戦車は小型で屋根がない「オープントップ」構造のため、超重量の大砲を前向きに取り付けるとバランスが崩れるということで・・・

 

主砲を後ろ向きに付けてみました!(拍手)

 

さらに、主砲発射時に砲尾が操縦席まで押しやられるため、いちいち操縦士が外に出なければいけないという「後ろ向きでメンドくさい」やつとして生まれてしまったのだ。

「食べ物と武器で遊ぶなっつったろ!」なーんて、道徳的なツッコミが軍内部に響き渡ったかは定かではないが、とにかく出来たからにはイザ出陣!!

ところが、このアーチャー君の「後ろ向き」な性格が意外にも功を奏することとなる。

敵に攻撃をカマした後でも車体の向きを変えることなく、別の射撃ポイントへ迅速に移動出来るうえに、車高が低く目立ちにくいので待ち伏せに持ってこいだったのだ!

いわば「低姿勢で目立たない根暗なヤツだと思ってナメてたら、帰りに待ち伏せされてボコられた」クラスの不意打ちで敵を翻弄することに成功したのだ!

しかし、その存在は低姿勢をフライングした地味にも程があるものとなってしまう。

「急ぎだから!」がスローガン(言い訳)だったにもかかわらず、プランニングから実戦投入まで2年チョイかかっていたため、その間に開発が難航していた巡航戦車が出来上がり実戦配備されていたのだ・・・。

 

それを言っちゃあおしまいだけど

 

意味ねーじゃん!!!

 

まあ、待ち伏せ専用のトリッキー要員としての立ち位置を与えられたこと、歴史に名を残せたことはアーチャー君も多少は鼻が高いことだろう。

 

そういや、後ろ向きな主砲を持つ戦闘機もあったな・・・

 

何故か憎めず、むしろ愛おしくなる存在。それが女王陛下の珍兵器なのである(強引だな、おい)。

 

投稿者:ToyGun.jp編集部