PICK UP!「シネマほぼ百発百中!Gun観しやがれ!〜第4回 ナイトクローラー」

2015年08月05日

NEWS エンタメ 映画

  「シネマほぼ百発百中!Gun観しやがれ!」

  ~狙った映画はだいたい外さないシネマヒットマンが送る怒濤の銀幕見聞録~

NCM第4回「ナイトクローラー」

原題「Night Crawler」
2014年度 アメリカ映画
監督・脚本 ダン・ギルロイ
出演
ジェイク・ギレンホール
レネ・ルッソ
リズ・アーメッド
ビル・パクストン  他

8月22日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷、シネマカリテ新宿ほか全国順次ロードショー
配給 ギャガ

【解説】夜を這い、他人の破滅を喰らう狂気のパパラッチに戦慄せよ

夜の闇の中、警察無線を傍受し、事件事故の現場にいち早く到着してスクープ映像写真をモノにする報道パパラッチ、通称“ナイトクローラー”の実態と、視聴率のためにモラルを捨てたテレビ業界の裏側を描いた戦慄のメディアスリラーが日本上陸。本作は、歪んだ自己顕示欲と金のために他人の破滅を餌にして成り上がる男と、男を利用するつもりがその巨大な闇に呑まれていくテレビ局ディレクターの女の姿を通じて描かれる『漆黒のアメリカンドリーム』である。その強烈な毒気に溢れた緻密なシナリオと、体重を12キロ落とし現代の闇を象徴する狂気の主人公ルイスを演じた、「エンド・オブ・ウォッチ」のジェイク・ギレンホールには全米の批評家も惜しみない賞賛を送っている。監督は本作が初監督作となるダン・ギルロイ。共演には監督の妻である「リーサル・ウェポン3」のレネ・ルッソ、「2ガンズ」のビル・パクストンらが顔を揃えている。                              夏休み大作に食傷気味の映画通を挑発する危険なブラック・エンターテイメント。その衝撃のハッピーエンドに戦慄せよ!

  【物語】他人の不幸は俺の蜜、そしてこれが俺の天職

眠らない街ロサンゼルス。学もコネもなく仕事にあぶれ、ケチなコソ泥で生計を立てる孤独な男ルイスは、交通事故現場を通りかかった際に遭遇したパパラッチの姿に興味を抱く。事件や事故の現場での悲惨で衝撃的な映像がテレビ局に高く売れると聞いたルイスは、盗品と交換にビデオカメラと警察無線を入手する。                      その夜から警察無線を傍受し、現場に急行して事件事故の被害者の姿をスクープする“ナイトクローラー”として活動し始めるルイス。やがて、映像を売り込んだテレビ局のやり手女性ディレクター、ニーナと共犯関係を結び、ジリ貧状態の若者をアシスタントに雇ったルイスのパパラッチ稼業は軌道に乗り始める。その一方で、より悲惨で過激なスクープを求めるルイスの行動はモラルを破棄した常軌を逸したものへとエスカレートしてゆくのだった・・・。

【Gun】銃より怖いカメラという凶器

警察や犯罪者がメインとなる作品ではないため銃は多く登場しないが、中盤の富裕層惨殺事件以降、画面上で何丁かの銃が確認出来る。まず、事件現場となる邸宅の玄関に残されたフォアグリップ付きのモズバーグ590ショットガン。そして、中華レストランでの犯人グループと警察との銃撃戦〜カーチェイスのシーンでは、LAPDの制服警官が使用するグロック(おそらく17)、犯人グループの1人はベレッタ(おそらく92F)もう1人はS&W系のシルバーオートを使用していた。おそらくM5906かM4516かと思うが画面に映るのが一瞬なので推測の域を出ない点をお許し頂きたい。しかし、なんといっても本作で凶器として映えるのは銃より「カメラ」である。

【寸評】情報過多時代の不気味なピカレスクロマン

なんといっても狂気の主人公ルイスを演じたジェイク・ギレンホールの圧倒的な存在感に尽きる。よく練られたシナリオが放つ毒気も強烈だが、映画全編に漂う心地悪さと、それに相反する奇妙な達成感(この時点で観客は映画の、ルイスの共犯者に仕立てられている)を一身に担っているのは、削げた頬の上からこぼれ落ちんばかりに見開かれる目で挑発するギレンホールに他ならない。「他人の不幸は蜜の味」という、人間心理の奥底に眠る否定してもしきれない後ろ暗い感情を躊躇なく肯定し、成り上がっていくルイスの姿に観客は嫌悪感を覚えながらも画面から目が離せないだろう。家族も友人も恋人もなく、テレビとインターネットの情報で形成された人格と知識で成り上がる主人公像はいかにも現代風で、同時にその空虚な人間性に底冷えするものを感じてしまう。

クライマックスのリアルで壮絶なカーチェイスに続くルイスの行動は、大藪春彦の「野獣死すべし」の主人公、伊達邦彦を彷彿とさせ、本作は銃の代わりに情報とカメラを凶器とした現代のピカレスクロマンといっても過言ではない。                                                             感情移入を拒むような主要登場人物の設定の裏には、誰もが抱える闇が潜んでいる。「ネットワーク」や「タクシードライバー」など衝撃的な70年代の社会派ムービーを現代風にアップデートした映画通必見の1本である。

NC1

 

投稿者:ToyGun.jp編集部