【オススメアイテム】東京マルイ/PS90 HC

2012年07月10日

アイテム 電動ガン

ps90-main発表当時から日本でも人気が高かったP90

実銃のP90が最初に発表されたのは前世紀の終わり頃、1990年代の話だ。ベルギーFN社製が、「サブマシンガンでもアサルトライフルでもない、全く新しいカテゴリーに属するこれまでにない銃器」として発表した。防弾チョッキなどは貫通するが人体などの柔らかい対象に当たると弾がとどまり大きなダメージを与える新型弾。弾を銃の上に横向きに並べておいて、直前に90度回転させてバレル後方に送り込むという斬新なメカニズムにより、下方向に大きく付き出したマガジンを無くし銃本体をコンパクトにまとめることに成功。ただし使用弾の関係で遠距離狙撃能力には劣り、せいぜい200~300m程度の近距離用途に限る。

それまでの「銃」というものに対する考え方とか思想とかから大きくかけ離れたそのデザインや思想は世界に大きなインパクトを与えた。実際に日本のトイガン市場においても、どこどこの特殊部隊が採用した、どこの軍が使用しているというような情報が入るよりはるか以前からP90はガスガンとして製品化されていた。エアガンのマガジン装弾数はせいぜい50発程度だった時代、巨大なマガジンを自然落下給弾のBB弾タンクとして有効に活かし500発もの超多弾数を誇り、ガスの消費量も極めて少なかったため圧倒的な弾幕を張ることが可能だった「トイテックP90」は、サバイバルゲームフィールドで脅威の存在だった。

東京マルイが電動ガンとしてP90を発売したのは2001年のこと。M16/M4、AK、MP5、SIG、G3系などのメジャーな製品がひと通り発売され、電動ガンの発売ペースに一段落がついた時期だった。実銃と同様にドットサイトを標準装備しているという意欲的な新製品だった。「赤い点を標的に重ねあわせて狙うだけでいい」というのは大きな魅力だったようで、そこに惹かれて購入する人が多かったようだ。

エアガンでも実銃でも同じだが、発射された弾は真っ直ぐ一直線に飛んでいくわけではなく、重力に引かれて落下するし、風にも流されるし、エアガンの場合はホップの効き具合によっても変化する。どんな距離でもドットサイトの赤い点と着弾点がぴったり一致するというわけではなく、距離によって上下、あるいは左右に散らばるのは当然のことだ。エアガンのことをわかっているユーザーにとっては当たり前のことだが、初めてエアガンを手にして初めてBB弾を撃つ初心者ユーザーにとってはそうではない。電動P90が発売された後、「ドットサイトの赤い点が示している場所に弾が当たらない」という苦情がたびたび東京マルイには寄せられたそうだ。どんな距離であっても、まるで誘導弾のようにドットサイトが示している点にBB弾が確実に吸い寄せられるようにして当たる、そんな幻想を持ってしまった人がけっこう多かったらしい。距離によって着弾位置は変わるというような、エアガンに慣れたユーザーにとっては当たり前のことでも、初めてエアガンを手にする人にとってはそうでないこと、というのは意外に多いんだなあということを思い知らされたエピソードである。

さらに2002年、ドットサイトを廃して三面レールを取り付け、サイレンサーが付属する「P90TR」が発売になる。自由に好きなサイトを付けられるということの他、もともと静音化には有利な構造をしていたP90をさらに静音化するサイレンサーが付属するという点も大きな魅力となり、今でもサバイバルゲームフィールドでも良く見かけるヒット作となっている。

ps90-hikaku上が最初に発売されたP90、下がその翌年に発売されたP90TR(ドットサイトは別売りオプション。両画像とも東京マルイ公式サイトより引用)。軽量コンパクトで、カスタムをすると無音に近いレベルにまで静音化できる点などが評価され現在でもフィールドで見かける機会の多い電動ガンだ。
ps90-u27従来の「銃」とは全く異なる形をしたグリップ部分のデザインだが、実際に手に持って構えてみると、実に理にかなった形だということを実感できる。

次の記事:PS90 HCの外観

「民間仕様のP90」をハイサイクル電動で製品化

今回、東京マルイがハイサイクル電動ガンとして新発売した「PS90 HC」は、その「P90TR」をベースに、内部メカニズムやマガジンを一新したものだ。名前が「P90」から「PS90」に変わっているのは、モデルとしている実銃が民間仕様のPS90に変わっているのが理由。軍や警察などの法執行機関向けだったP90を民間市場でも販売するため、銃身を延長して全長規制をクリア(あまりに短い銃は攻撃的武器として民間での販売ができない)、フルオート射撃をなくしてセミオートのみに変更するなど、いくつかの措置をしたものである。P90の魅力とされるコンパクトなスタイルが長いバレルによってスポイルされ、防弾チョッキは貫くが人体にはちゃんとダメージを与える特殊弾などが使えず、機関部が後方にありトリガーが前方にあるというブルパップ構造からくるトリガーフィーリングの悪さや、使用弾が一般的なものでないため価格が高いなどのデメリットが目立ってしまうため、PS90そのものはアメリカ市場においてもそれほど売れている製品とは言い難いのが現状らしい。

ps90-mainPS90 HC
全長:667mm/550mm(ショートバレル時)
重量:1,918g/1,990g(ショートバレル時 バッテリー含まず)
装弾数:300発
メーカー希望小売価格:36,540円(税込)
発売日:2012年6月28日(発売中)
東京マルイ(http://www.tokyo-marui.co.jp/

電動ガンにそのデメリットを引き継ぐ必要はない。PS90(民間仕様)と同様の長いバレルだけでなく、バレルチェンジシステムによって短いバレルに簡単に付け替えることができるようになっている。電動ガンにはフルオート規制なんてものはないので、P90と同様にフルオート射撃することも可能だ。

そしてなによりのアピールポイントは、ハイサイクルメカニズムとそれに対応した新型マガジンである。P90の多弾数マガジン(300連マガジン)は、他の電動ガンのマガジンとは少し異なる仕組みを持っている。他の電動ガンのマガジンでは、上からジャラジャラと入れたBB弾を、マガジンの底部にあるゼンマイと歯車で「かき上げる」ようにして銃の給弾口に送り込むという構造になっている。流し入れられたBB弾は重力によって自然と適度な力でゼンマイ&歯車に押し付けられている。しかしP90ではマガジンが銃の上に配置されるという構造上、同じ仕組みが使えない。そのためバネの力を使って流し入れたBB弾をゼンマイ&歯車に押し付けるという独自の構造を取っている。

綺麗に一列に整えられていない流し込まれたままの状態のBB弾は、引っ掛かったり詰まったりしやすい。通常の電動ガンの多弾数マガジンでは歯車に押し付けるのはあくまで重力だけなので、射撃を行ったり銃を動かしたりすることでマガジン内で弾がかき混ぜられて、引っ掛かりや詰まりが自然と解消される。しかしバネでたくさんのBB弾のカタマリが一方向に押し付けられているP90の多弾数マガジンではそれが起こらない。通常の使用では問題なくても、カスタムを行なってハイサイクルにしたりすると給弾が追いつかないという欠点が指摘されていた。

東京マルイとしても、P90をハイサイクル化するにあたっては多弾数マガジンの問題は避けては通れないところだったようだ。BB弾を押し付けるバネの変更や、揃っていないBB弾のカタマリから一発ずつ取り出して給弾口に送り込む歯車の形状の見直しなどを行い、「ハイサイクルでもトラブルなく給弾できる新型マガジン」を実現したという。この新型P90多弾数マガジンはPS90HCに付属するが、単体でも販売される。今後販売される「P90用300連マガジン」はすべてこの新型マガジンになるとのことだ。

 

ps90-01レシーライフルやSCAR-Hですっかりお馴染みになったバレルチェンジシステム。長バレルと短バレルを簡単に入れ替えることができるというものだ。インナーバレル(実際にBB弾を加速するバレル)の長さは変わらないので実射性能には変化はない。
ps90-02バレルを外したところ。インナーバレルの先はさらにこの奥にある。銃口部分のネジはマルイ電動ガンお約束の14mm逆ネジになっているので、付属するもの以外にサイレンサーなどのさまざまなオプション品を取り付けることができる。
ps90-03逆ネジなので、外すときには「締め込む方向」に回す形になる。フラッシュハイダーはアルミ削り出しの高級感あふれるもの。ちょっと前まではマルイ電動ガンのマズル周りってダイキャストっぽさが拭いきれていないところがあったが、最近は高級カスタム品にあらかじめ交換してあるかのような丁寧な仕上げになっている。
ps90-05ドットサイトではなくレールが上面と左右の合計三面に付いている「トリプルレール(TR)」モデルである。上面レールには申し訳程度の小さなアイアンサイト(オープンサイト)が付いている。
ps90-06レール上面のアイアンサイトは、取り付け位置が低すぎて普通に構えた状態では物理的に使用することは不可能に近い(頬骨をストックにめり込ませれば可能かもしれない)。あくまで緊急避難というか応急措置的なサイトだ。
ps90-04セレクター兼セーフティーレバーは、トリガーの下にある。銃を構えた状態で握った手の位置を全く動かすことなく操作が可能だ。左からセーフティー(撃てない状態)、セミオート、フルオートに切り替えた状態。
ps90-11実銃では、初弾をチャンバーに送り込む役割をするチャージングレバー。いちおう可動する。
ps90-12こうやって後退させた状態にすると、(実銃では)初弾がマガジンから銃身後部に送り込まれる。しかし電動ガンではなんの機能も持たない。ダミーだ。
ps90-10フレームの色はOD(濃い目のグリーン)。実銃では左右モナカ構造になっていて多数の六角ボルトで留められているが、マルイの電動ガンでは左右のフレームは接着されていて剥がれない構造になっている。
ps90-09グリップの下に開いた穴のところには、なにやら複雑な形をした部品がある。実銃だとここは空薬莢が排出される穴で、この複雑な形をした部品はカートキャッチャー(空薬莢袋)を取り付けるためのマウント。電動ガンでは機能を持たないダミーだ。
ps90-07付属する新型の300連マガジン。ハイサイクルでもトラブル無く給弾できるように改良されたものだ。
ps90-08以前の300連マガジンと見分けるには、内部に見えるバネの色を確認すればいい。銀色のバネが使われているのが新型マガジンで、黒色なのが旧製品のマガジンだ。

次の記事:実射&まとめ

ハイサイクル電動は、撃ち味のダイレクト感も魅力だ

P90は、コンパクトだし、軽いし、ストックの折りたたみ機構とかないから頑丈だしと、初心者の人におすすめしたくなるポイントが数多くある電動ガンなのだが、ただ唯一「多弾数マガジンの信頼性」という点がネックとなっていた。慣れている人なら少し弾の出が悪くなったというだけなら外して少し叩いたり、BB弾を押し付けているバネを少し緩めて振ったりして解消できるのだが、初めてエアガンを持った人にまでそれを要求するのは難しい。

だが今回のPS90HCの登場でその不安点も解消された。ハイサイクルによる優位性もある。誰でも使えて、手軽で扱いやすく、高いパフォーマンスを発揮する…。有料フィールドにおけるレンタル用電動ガンとしても十分に選択肢に入ることだろう。

ハイサイクルの利点は、フルオート射撃時の弾幕の厚さだけではない。トリガーを引いてから弾が発射されるまでのタイムラグが少ないことも大きな利点だ。「引き金を引く→弾が発射される」というプロセスがよりダイレクトに感じられるため、「銃を撃っている」という実感をより強く感じることができるのだ。電動ガンを撃ち慣れたベテランユーザーであればあるほど、そのタイムラグ(モーターが動き始めてピストンが引かれて弾が発射される、というプロセスが感じられること)に慣れてしまいあまり不自然さを感じなくなっていくものだが、初めて電動ガンを撃つ人にとっては違和感を感じやすい部分。それがより少なくなっているということは、初心者に対して「電動ガンの面白さ」を伝えるためにはより有効だということでもある。

サバイバルゲームチームの皆さん、有料フィールドの運営者の皆さん。レンタル用の電動ガンとして、あるいはバックアップ銃の一つとして、このPS90HCを一挺装備品に加えてみてはどうだろうか?

ps90-syosoku0.20g弾を撃った時の初速。業界団体の規制値ちょい下くらいのレベルで安定している。この数値ならどのサバイバルゲームフィールドでも参加を断られることはないし、また逆に初速が足りなくて悔しい思いをするみたいなこともまずないだろう。
ps90-targetセミオートでの射撃。スコープを使用している。トリガーレスポンスはバツグンに良いのだが、トリガーフィーリングがおせじにもあまり良くないものなので、正直いって精密射撃にはあまり向いていない。これは、トリガーから機関部までが遠いブルパップ銃の宿命みたいなものなので仕方のないことなのだが…。実銃のPS90も、トリガーフィーリングは酷いものらしい。だがそんなトリガーでも、水準以上の良好なグルーピングは発揮してくれる。
実射動画(撮影協力:赤羽フロンティア)。ハイサイクルで作動させても全く給弾不良が起こる気配はない。実に快調に撃てているのが分かる。

投稿者:keisuke