東京マルイ・次世代電動ガンG36Cカスタム
東京マルイ
http://www.tokyo-marui.co.jp/
次世代電動ガンG36Cカスタム
重量:2,930g(バッテリー含まず)
装弾数:50発(※470連マガジン別売り)
メーカー希望小売価格:52,290円(税込)
2011年9月発売
「次世代」が普通になりはじめた
それまでの電動ガンとは一線を画する新しい電動ガンとして「次世代電動ガン」が発売されたのは2007年の年末のことだ。第一弾としてAK74MN、続いて次の年にAKS74U、待望のM16系(M4カービンバリエーション)であるSOPMODと続き、すっかり電動ガンラインナップの主役となっている。
次世代電動ガンの登場によって、従来の電動ガンは「スタンダード電動ガン」と呼ぶことで区別されるようになった。リコイルシステム、主要パーツの多くが金属製、それに伴うプライスUPと、次世代電動ガンはスタンダード電動ガンに比べて、「いろいろと高級な上位機種」といった位置づけにある。実射性能やリアルさはもちろんのこと、金属パーツが増えたことによる頑丈さや、セレクターのメカニズムやピンの取り付け部分などいろいろと細かい部分がグレードアップしている。
「シュート&リコイルエンジン」と名付けられた、射撃と同時に実銃と同様にボルトハンドルなどが前後動し、また同時に銃の内部でウエイトが振動することで擬似的な「リコイル」を生み出すシステムが次世代電動ガンの最大の特徴だ。初めてエアガンを撃つという人に最初にスタンダード電動ガンを撃たせて、その次に次世代電動ガンを撃たせれば、ほぼ間違いなくその撃ち味に感動し、値段の差なんか気にもせずに次世代電動ガンの方を購入候補に入れる。これはいくつも実例を見てきているので間違いなく断言できる。そのくらい、「撃つと同時に激しく揺れる銃」というのは琴線を刺激するものだ。
中には、「リコイルなんて邪魔だ」というユーザーもいる。エアガンを、「BB弾を撃って、狙ったところに当てるための道具」だと割り切っている人なら、むしろそれが当たり前の反応かもしれない。しかし次世代電動ガンのリコイルが発生するのはBB弾を発射した後(アフターシュート)なので、実射性能にはほとんど影響はない(フルオートで連続して撃つ場合は2発目以降にリコイルの影響が出て弾着がブレることはあるが、これは撃つ人の技量によるところが大きい)。
次世代電動ガンは、金属部品を贅沢に使うことによる剛性アップなどが良い効果を出していることもあって、むしろスタンダード電動ガンよりも高い命中精度を発揮する場合が多い。とはいえ、BB弾を発射するのに必要のない機能はなければないほうがいい…。そう考える人もいるだろう。第一弾、第二弾だったAKシリーズではリコイルユニットの取り外しは非常に面倒で、一般ユーザーでは「まず無理」といっていいレベルだったのだが、SOPMODからは比較的簡単にウエイトだけを取り外すことができるようになっている。
AKシリーズ、M4カービンバリエーションと続いて、H&KのG36Kが発売となったのは2009年。スタンダード電動ガンとして既にG36Cは発売されており、実質的にその上位機種というイメージが強い。3倍のスコープをキャリングハンドル内に備え、スタンダード電動ガンG36Cでは樹脂製だったパーツも金属製になっているなど、ありとあらゆるところがグレードアップしていた。モデルとされた実銃と同様、サイズもG36Cに比べてG36Kは大きめになっているという違いもあった。
「次世代はスタンダードとは違う特別な上位機種」といったイメージ戦略っぽいものはたしかにあったと思う。だがM4カービンのバリエーションの一つとしてCQB-Rが発売されたころから、少しその流れに変化があったような気がする。サバイバルゲームで使うならぜひ付けておきたいパーツが標準装備されコンパクトにまとめられたCQB-Rや、スコープを載せるだけで他はノーマルのままでもスナイパーライフル的な使い方ができるレシーライフルなどは、確かにお値段はそれなりにするけれど、決して「特別な上位機種」というわけではなく、購入してそのままでサバイバルゲームでバリバリ使用したくなる、「普通」の製品というイメージが強い。実際にサバイバルゲームフィールドでも、AK74UやSOPMODが発売されたばかりのころは次世代電動ガンを持っていると、それだけで「おお、次世代!?」と注目を浴びたものだったが、今では次世代だからといって特に注目されるわけでもなく、普通にスタンダード電動ガンを使っている他のメンバーと一緒にゲームするようになったという変化を見ることができる。
そのままでも「普通にゲームに使いたい電動ガン」としての次世代電動ガン、その決定版ともいえるのがG36Cカスタムじゃないだろうか。
「特別じゃない」けれど「ひと味違う」
製品名こそ微妙に変えてある(流通とかそこらへんの事情もあるのだろう)が、次世代電動ガンとして発売された「G36Cカスタム」と、スタンダード電動ガンとして発売された「G36C」は、ベースのモデルとなった実銃は同じだ。写真を見比べてみても、いくつかオプションパーツが増えていたり、フロント/リアサイトがなくなっていたりしていること以外は、同じ形に見える。
だがその実は、けっこういろいろと変わっていて豪華になっているのだ。次世代電動ガン最大の特徴であるシュート&リコイルエンジンを搭載しているのはもちろん、各パーツの素材や信頼性の向上など、まさに「見えないところがグレードアップ」といった仕様になっている。見えないところだけでなく、見えるところ、つまり外付けのオプションパーツがいろいろと追加されているのもお得な点だ。
まずは「見えるところ」、つまり標準装備となったオプションパーツから見ていこう。
バーチカルフォアグリップ・ショートタイプ
ハンドガード下には、ショートタイプのバーチカルフォアグリップが標準装備されている。実際に射撃をするときにこのフォアグリップに頼るようなことはない。一部に、フォアグリップを積極的に使用する射撃フォームを推進しているところもあるが例外的な存在だ。
このグリップが役に立つのは、上部のレールに光学照準機器を載せたり、サイドレールにライトをつけたりして銃が重くなってきたとき。普段、銃口を下に向けて持ち歩くときに、このフォアグリップがあると銃の重量を支えやすくなり便利なのだ。必要の無いときには、底部のダイヤルを回して緩めることで、簡単に取り外すことができる。
サイドレイル
ハンドガードの下面だけでなく左右の側面にもレールが付いている。G36C(スタンダード電動ガン)、G36K(次世代電動ガン)の両方とも、もともとレールを取り付けるためのネジ穴はハンドガードに備えられていたが、レールは別売りだった(1680円・税込)。G36Cカスタムに標準装備されるレールは、その別売りレールとは全く異なるもの。長さはハンドガード側面をほぼ埋め尽くすほどに長く、アルミ製のCNC加工品で、取り付け位置を記録するためのナンバーも付いた豪華仕様のものになっている。
ラバーグリップカバー
グリップに筒状のゴムを被せることで握りやすくするためのパーツは、Pachmayr(パックマイヤー)製の「スリップオン」や、HOGUE(ホーグ)の「ハンドオール」といった製品が有名だ。グリップがどんな形をした銃でも大抵の場合は問題なく取り付けられることと、お手軽な割には握りやすさ向上という点ではかなりの効果があることから、エアガンをカスタムする際にはオススメのパーツの一つでもある。
次世代電動ガンG36Cカスタムには、スリップオンとハンドオールを足して2で割ったみたいなデザインのグリップカバーが標準装備となっている。握りやすさは上々だ。
チークピース
ライフルを構えて狙うときには、ストックに顔の側面(頬)を当てて固定させる。それを「頬付け」と呼ぶ。実銃では、しっかりと頬付けしていないと射撃時の反動で跳ね上がった銃に顔を下方から殴りつけられる形になってしまう。
頬をしっかり当てると自然と目の高さも固定される。サイトの位置がほとんど変わらないオープンサイトの銃ならば問題ないのだが、様々な大きさの光学照準機器を取り付けるとなると事情が変わってくる。背の高いサイトを使うと、それを除くために目の位置を高くする必要があり、そうすると頬がストックから浮き気味になり、その結果として手痛いアッパーカットを喰らうことになってしまう。そのため、いろいろな光学照準器を使う場合には頬付けするストックの高さを調節できるようにすることは必須なのだ。
操作方法やギミックなど
必要に応じてつけたり外したりできるオプションパーツも注目のしどころだが、やはり基本的な仕様はしっかりと確認しておきたい。


セーフティー&セレクターレバーは左右どちらからでも操作できる。H&K製品の伝統で、イラストで説明されているため誰にでもひとめで分かるようになっている。一番左がセーフティ(トリガーを引いても撃てない状態)、真ん中がセミオート(トリガーを一回引くたびに1発だけ発射される状態)、一番右がフルオート(トリガーを引きっぱなしにすれば連続して弾が発射され続ける状態)だ。

コッキングレバーは、ハンドガード内、バレル上部に取り付けられているガスピストンと連動している。もちろん、このガスピストンは本当に銃身内から吹き出してくるガスで作動するわけではなく、見た目だけのいわばダミーなのだが、射撃時に実銃どおりに激しく前後動するため実にリアルだ。

内部メカニズム
それでは気になる中身を見ていこう。といっても今回はメカボックスを割るところまではやらずに、誰でも簡単に辿りつける範囲に留めておくことにする。それでも、ベースになった銃がH&K製であるおかげなのか、AK系列などに比べれば部品の組み合わせなんかはいかにもドイツ人らしくシステマチックになっていて、順番にパーツを外していくだけでかなりの部分まで分解できる。



リコイルウエイトとボルト関連の部品。いくつかの小さいネジでくっついているだけなので、ウエイトだけ取り外すのはそれほど難しくないが、ウエイトを外してしまうとチャージングハンドルの前後動やガスピストンの作動もしなくなってしまう。
実射
次世代電動ガンの最大の魅力は、実銃を撃っているかのような気分を味わえるリアルな撃ち味。もちろん実銃の反動とは全く異質のものではあるのだが、重い銃が前後に揺さぶられるリコイルショックを感じることで、「本当は軽いBB弾を撃ってるだけ」ということを忘れさせてくれる感覚がある。外から見るだけでは本当に発射ガスで作動しているようにしか見えない各部品の動きも気分を盛り上げてくれる。もしこれに加えて、射撃場独特の燃えた火薬の鼻を突く匂いがあったら、もう手にしているのが電動ガンなのか装薬ライフルなのかなんてことは完全にわからなくなってしまうかもしれない。
銃の上に付いているロングレイルなど、スタンダード電動ガンでは樹脂製(裏側に金属製の補強)だった部品など金属部品が増えたことによって剛性感はUPしており、手にした時や振り回した時のきしみは皆無で、リコイルショックで揺られる時も部品が抜け落ちたり緩んだりしそうな不安感はない。

左手を伸ばして、バーチカルフォアグリップをハンドガードごと横から握る撃ち方が一部で流行ではあるが、こういったマガジンハウジング(マガジンが差し込まれている、箱状になった本体部分)に手を添えて手前に引き付けるようにしてコンパクトに構えるクラシカルな撃ち方のほうが性に合う、というユーザーも多いだろう。アッパーマウントレイルに取り付けているのは、本体と同じく東京マルイ製のイルミネーテッドショートズームスコープ(倍率は1.5~4倍の可変。価格は税込で14,490円)。設計が難しいとされる低倍率のスコープながら、高価格帯のスコープに負けないほどに明るくてクリアな視界が得られるスグレモノのスコープだ。スコープマウントも同じく東京マルイ製のNEWハイマウントベース(3,990円)。詳しいレポートは「ピックアップグッズ」に近日掲載予定なのでお楽しみに。
動画撮影協力:SPFゲームフィールド(神奈川県)